ガラス転移、過冷却液体の数値的、理論的研究

  1. 1成分ガラス形成系の結晶化メカニズム
  2. CRR内の活性化自由エネルギーの分布
  3. 3次元単成分液体のガラス転移
  4. レナード・ジョーンズ・ガウス系の平均二乗変位の研究
  5. 配置エントロピーと比熱の関係
  6. ジャンプ待ち時間分布の対数発散

非平衡定常状態の揺動散逸

  1. Harada-Sasa公式のフォッカープランク方程式を用いた導出

1成分ガラス形成系の結晶化メカニズム

原子の実空間における構造変化を分子動力学シミュレーションを用いて解析し、高温と低温での結晶化過程の違いを明らかにした。また、結晶化およびガラス化の両方において、周囲との協調的な原子運動が顕著になっていることを示した。

CRR内の活性化自由エネルギーの分布

自由エネルギーランドスケープ描像に基づいて、構造緩和が起こるときの 協調再配置領域(CRR)内の活性化自由エネルギーの分布を、 1粒子あたりの活性化自由エネルギーという概念を定義して明らかにした。 剛体球ガラスに密度汎関数理論を応用し、 1粒子あたりの活性化自由エネルギーを定義した。 多くの密度で活性化自由エネルギーは特徴的な分布を持つ事が分かった。

3次元単成分液体のガラス転移

低圧力下で結晶化が回避されガラス化することを分子動力学シミュレーションにより見いだした。粒子が20個程度の範囲の局所的なポテンシャルエネルギーは、ガラス状態の方が結晶よりも低いため、ガラスの局所構造が安定であることがわかった。

レナード・ジョーンズ・ガウス系の平均二乗変位の研究

平均2乗変位のプラトーをさまざまなポテンシャルパラメーターについて、分子動力学シミュレーションにより計算した。

配置エントロピーと比熱の関係

配置エントロピーの妥当な定義を平衡系の統計力学の枠内でつくり、 実験で測定できる比熱との関係を明らかにした。 これまで広く信じられていた比熱から配置エントロピーが求められることが、 必ずしも厳密でないことを示し、 その差が過冷却液体の構造を反映することを明らかにした。

ジャンプ待ち時間分布の対数発散

液体中の分子運動のうち構造緩和に寄与するジャンプ拡散を抽出し、それらの待ち時間分布を求めた。分子動力学シミュレーション結果は、ガラス転移温度以上ではおおよそポアッソン分布、転移点では-2のベキをもつロングテイルを示した。

Harada-Sasa公式のフォッカープランク方程式を用いた導出

Harada-Sasa公式はランジュバン方程式で記述できる系が非平衡定常状態に置かれている時に成り立つ恒等式として知られている。 フォッカープランク方程式を使った簡単なやり方でこの公式を導いた。この導出には様々な系に応用できるという利点がある。 次に、Under-dampedから極限をとることでOver-dampedでのHarada-Sasa公式を導出した。