- 日時:2013年12月19日(木) 13:30~
- 場所:九州大学箱崎キャンパス理学部2号館物性理論セミナー室(2635室)
- 講演者:吉武 智之 氏
- 概要
タンパク質反応に関する研究は多くの研究者が取り組む重要な課題であるが、それらの大多数は希薄なバッファー条件下で行われている。一方、タンパク質が実際に存在する生体細胞はDNA、RNA、多様なタンパク質および多糖といった多量の高分子を含んだ非常に混みあった環境(クラウディング環境)となっており、希薄なバッファー環境とは大きく異なる。近年、タンパク質の挙動はこのクラウディング環境の影響を受けるという報告が多数なされており、このことから生体内におけるタンパク質の挙動を知るためにはクラウディング効果を考慮することが必須である。
本研究では、タンパク質の拡散現象を高時間分解能で検出することが可能な過渡回折格子法を主に用いて人工的に構築したクラウディング環境下における青色光センサータンパク質Phototropin1 LOV2ドメインの光反応を調べた。その結果、バッファー中とは異なる信号が観測され、会合状態や光反応がクラウディング効果を受けていることがわかった。