意見感想と回答

第2回 (10月22日)

今回も少なかったです。 あまり多いと答えるのが大変ですが、少ないのも寂しいです。 講義はどうしても一方的になりがちで、 受講している皆さんがどう思ってくれているかよく分かりません。 特に、私が慣れていないせいもあり、 皆さんのまったく理解の出来ない授業をしてしまうのが心配です。 それで、分からなくなったらこの紙に書いて欲しいのです。 もっとも、皆さんには講義を良くする義務はないので、 仕方がないかも知れません。 この方法があまり効果が無ければ、別の方法を考えます。

以下に質問の内容と共に皆さんの意見感想を書きました。 ホームページで公開不可、としたものは無かったので、 全員掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上に私の回答があります。


質問1. 今日の授業でよく分かったことがあれば、書いて下さい。

意見感想:
熱力学、統計力学の復習になった。
今回の授業では復習の部分、特に最小仕事の原理の説明だけがうまくいったようです。 その他の部分は分かりにくくなってしまい申し訳ありませんでした。 最小仕事の部分は、もう少し踏み込んで、等温過程だけでなく、 温度や体積が変わる場合もやれば良かったです。
P(x)の分布を考える時、最小仕事の原理が大切だということ。
最小仕事の原理が大切な事が分かってくれるだけでも良かったです。 欲を言えば、 ゆらぎと最小仕事の関係を概念的にももう少し突っ込んで理解してくれると、 なお良かったです。 分かりにくい講義をしておいて、おこがましいですが、 P(x)を最小仕事で計算出来るという時に、 どういう仮定を使った分かってもらえると最高です。

質問2. 今日の授業で分からなかったことがあれば、書いて下さい。

意見感想
熱の測定法について
  • どう変換して測定できるようになるのか

この問題は、熱力学の根本的な問題と絡み、最近よく議論されています。 一般的な状況で熱を定義する事自身が難しいとする文献もあります。 その文献では、熱の一般的な定義を使わずに熱力学を構成しています ( 田崎晴明著「熱力学」培風館 )。

良くある議論では、 仕事から内部エネルギーを引いて測るというのがあります。 まず、断熱壁で囲って仕事をする事により、 内部エネルギーの変化を測ります。 次に、断熱壁を透熱壁に替え、 さっきと同じ状態変化を引き起こすのに必要な仕事を測って、 内部エネルギーから引けば、熱が測れるという訳です。 しかし、 これは内部エネルギーが状態量であることを知らないと使えないので、 少し面倒です。

別の文献では、温度の違う物体を接触させて、 その温度変化を測るという方法を取っています (佐々真一「熱力学入門」共立出版)。 また、先の田崎さんの本では、相転移を利用した方法も載っています(P247)。 いずれにしろ、測定できない物は、実際に存在しないという立場からは、 熱をどう測定するかは、熱力学を構成する上で大変重要な問題です。


STとETのグラフで、 D → C'も可逆でなければならないのかということ。 (直接内容と関係ないかもしれませんが)
DとC'を何所に書いたのか忘れてしまったのですが、 もし、Dが最小仕事によってA点から到達した点、 C'がCと同じ位置に最小仕事で到達した点とするならば、 その過程は可逆ではありません。 可逆な場合は、全体のエントロピーは変らないというのが、 熱力学の主張する所です。 Dの方がC'よりもエントロピーは大きいので、 C'からDにはいけますが、その逆は行けません。 DとC'は、両方ともX=xなので、温度が同じならば、 注目している系は何の変化もないので、 その過程はサイクルになっています。 C'からDは仕事が必要ですが、DからC'へは仕事を取り出せるので、 この不可逆性はケルビン(プランク)の法則の一つの表現になっています。

質問3. その他、感想や意見があれば、書いて下さい。

意見感想:
プリントを見ていて思ったのですが、 いきなり相関関数が使われているみたいですが、 まだ講義では扱われていない。
講義の1回目も、2回目も、用意した内容が全然終わらないので、 プリントの内容も1回分先取りしています。 相関関数は、次回やりますので、プリントを忘れずに持ってきて下さい。

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