質問と回答 (採点対象)

第2回 (10月21日)

今年度は、 単に質問を授業に役立てるだけでなく、 採点をして成績評価の対象にする事にしました。

以下に質問の内容と採点結果を書きました。 ただし名前は書いてありません。 ホームページで公開不可と書いてなかったので公開します。 (間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上に私の回答があります。


質問1. (採点結果: 20点)

双極子モ−メントを持った 液体分子を考えた時、電場をかけたときの応答は 時間遅れになるということですが、
α(t)=χ/τDexp[-t/τD]
というデバイモデルを考えた時、τD
水の場合 3.2ps
等という実例がありました。
この原因は 単に 液体の粘性に起因するものなのでしょうか? またこのような測定は どのように 可能なのでしょうか?

良く理解していることが分かるだけでなく、 突っ込んだ内容を聞いています。 この日やったポイントは1節が1個、2節が2個で、全部で3個になります。 そのうち、この質問は1節でのポイントを押さえているので、 全体の1/3分かったと見なし、20点採点しました。 実はこの質問は、私が日頃研究していることに触れているので、 ポイント高いです。

まず、τDをここでは誘電緩和時間ということにしますが、 このような水の速い誘電緩和時間の原因はよく分かりません。 ただ、粘性だけではないと思います。 一般に粘性は並進運動に効くといわれていて、 回転運動とは独立と考えることが多いようです。 しかし、粘性の高い液体は誘電緩和時間も遅いのは確かです。 また、水は比較的小さく、短距離の相互作用を考えると、 ほとんど球と見なせるので、回り易いとと考えることも出来ます。 それで一見説明できたような気もしますが、 良く考えてみると、回り易さと誘電緩和時間の関係は良く分かりません。 むしろ、周りの分子との相互作用が水は強いので、 エネルギーが速く散逸することが知られていて、 その方が関係があるかも知れません。

測定についてですが、時間変化する電場をかければ測ることが出来ます。 特に交流電場が良く使われます。 これは詳しく授業でやりませんでしたが、 時間遅れの線形応答の式をフーリエ変換すると、 応答のフーリエ成分が、 比例係数αのフーリエ成分と電場のフーリエ成分の積になるので、 それぞれの周波数の交流電場をかければ、 比例係数αのフーリエ成分が直接求められます。 この比例係数のフーリエ成分は一般化された感受率と呼ばれ、 これから誘電緩和時間が見積れます。


質問2. (採点結果: 5点)

10/21の講義において熱雑音があるRC回路の所で
VC=Q(t)/C VR=RI=RdQ(t)/dt
となるから
VC+VR=0 だったとき (熱雑音がないとき)
Q(t)=-(1/RC)dQ(t)/dt
となると板書があったと思います。 なぜでしょうか。

もし本当にそう書いていたならば、単なる間違いです。 正しくは、
dQ(t)/dt=-(1/RC)Q(t)
が正しいです。 私のノートは正しく書いてあるのですが、板書するとき間違えたのでしょうか。

これは、質問1と同じ人でしたので、両方併せて25点と採点させて下さい。



戻る

吉森明のホームページへ