質問と回答 (採点対象)

第4回 (11月11日)

今年度は、 単に質問を授業に役立てるだけでなく、 採点をして成績評価の対象にする事にしました。

以下に質問の内容と採点結果を書きました。 ただし名前は書いてありません。 ホームページで公開不可と書いてなかったので公開します。 (間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上に私の回答があります。


質問. (採点結果: 5点)

11/21の講義で
「宇宙全体は考えないほうがよい」
という所なのですが、
外場をすべて内部の相互作用とすることで、 外場と考えずに、分布を宇宙全体で考えることは 可能ではないでしょうか。

これは私の説明が悪くて分かりにくかった所ですね。 申し訳ありません。 質問の答えも授業で言ったつもりでしたが、分からなかったでしょうか。 線形応答では外場は完全に制御できると考えているわけです。 つまり、時間変化に不確定の要素が無いのです。 そういうものは位相空間に含めることが出来ません。 もともと、位相空間を考えたのは分布を考えたいからで、 分布しない自由度については、位相空間に入れる必要がないわけです。

しかし、必要がないだけで含めることは可能ではないかという疑問が生まれます。 確かに可能かも知れませんが、確定したものと不確定なものをまぜこぜにして、 分布を考えなければならなくなり、概念的にもとても難しいものになりそうです。 そういう立場に立った研究は、まだありません。 少なくとも、この後説明した久保理論では、そういう定式化を取っていません。 つまり、外場を位相空間に含めることは出来るかも知れませんが、少なくとも、 久保公式の定式化は、外場を位相空間に含めません。

久保公式というのは大変有名で、重要な公式には間違いありませんが、 よく理解せずに、いつも絶対に正しいと思って使う人が時々います。 ここで私が言いたかったのは、そうではなくて、 久保公式にはそういった概念的な立場というか仮定があるということです。

この採点はとても迷いましたが、一応授業で、 「外場をかけるのは人間?--->人間も位相空間に入っているので 外場も位相空間の自由度にいれるべきでは?--->外場はなくなる」 という板書をしたのですが、それを引用してもらえなかったので、 採点する質問について の2には当てはまらないと判断して5点にさせてもらいました。



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