2002年度前期 非平衡物理学 授業の反省



  • 今年は、プリントのはじめに「仮定」と「結論」を書いた。 特に仮定が重要だと思い、この様にまとめた。 思ったより効果をあげなかったが、書かないよりはましだったと思う。 効果が上がらなかったというのは、毎回書いていたので、 慣れてしまい、あまり強調されなかった。 しかし、最初にまとめてあると、後で見る時便利だし、 重要性は分かってくれたと思う。

  • 今年は、宿題の他に質問を採点した。 30点満点で配点が少なかったので、結局3人しか出してくれなかった。 採点がきびしすぎるという意見もあったが、 あくまで理解度を試すために行うので、 理解度が分からなければ、少ない点をつけるしかない。 むしろ、1つの質問の満点を60点ぐらいにする方が良いと思う。 あるいは、何点かは、必ず質問を出してもらうようにするのも、 良いかも知れない。

  • 授業の構成は去年と同じだったが、良かったと思う。 やはり役に立つ内容を考えると、ブラウン運動を軸にするのが1番良い。

  • 去年の反省に「具体例が重要」とあったので、 今年は具体例をたくさん入れた。 4.時間相関関数、8.時間反転対称性、 10. ブラウン運動の微視的導出 (森の理論)以外は、 すべての章で具体例を挙げた。 これは良かったと思う。 例外の3つの章については、アンケートで、 10が難しいと感じる人が多かったので、 少なくとも10には入れるべきだった。

  • 講義のレベルは、去年の反対で前半優しく、後半は難しかったようだ。 後半の内容を少し考えた方が良いかもしれない。

  • 概念的な説明が足りないと感じる人が、 前半のアンケートで4人、後半に1人いた。 おそらく抜本的な改革が必要だ。 なぜなら、式の計算ばかり追えても、ほとんどの人は役に立たず、 必要なのはむしろ概念的な理解だと思う。 思いきって式の計算は宿題にまわし、 概念的な説明を詳しくやる方がよいだろう。 式の計算は、1人で何も見ずに出来るところまで、授業中に説明すれば、 後は全部宿題にする方がきっと良い。

  • 具体的な内容として難しいとアンケートに答えていたのは、 前半では、第2種揺動散逸定理と時間相関関数、 後半では、森理論だった。 前半は、概念的な説明が足りないのが原因だったようだ。 後半は、多くの人が難しいと感じていた。 例を挙げるのが1つの解決策だと思う。 線形応答(パワーロス、分散関係)もとても難しいと答えている人がいて、 案外わかりづらかった様だ。 昨年のアンケートにも出ているので、注意する必要がある。

  • 久保公式は今年は線形のランジュバンで説明した。 去年より分かりやすかったと思うが、少し単調だった様だ。 もう少し工夫が必要。

  • プリントに載せた計算を授業中に理解してもらうかどうかは、 何時も悩ましい問題だ。 今年は、授業中の完全な理解を目指したが、やはり無理だった。 実際、たとえ、それが出来たとしても、授業中式を追うばかりで、 概念的に分かることが出来なくなるので、良くない。 アンケート(その二)集計結果 にも書いたが、授業中は、概念的な説明を中心にして、 計算は宿題にまわすべきだと思う。 プリントもその様に作るべきだった。

  • 図をもっとプリントに入れてほしいという要望が、 今年もにあった。

  • 宿題は、 レポート(宿題)の反省 にも書いたが、問題にむらがあって失敗した。 今年ぐらいの難易であれば、配点を2/3ぐらいにすれば丁度良かった。

  • (平衡系の)統計力学は、またまた今年も説明不足が指摘された。 毎年出来ているので、真剣に考えなければならない。 準備する時に平衡系の統計力学を使うかどうか、良く考えれば、 少しは違うかも知れない。

  • 今年は風邪で1時間休講にしたので、最後のおまけは、 出来なかった。 それと関連して、おまけをしないのだったら、9月の授業を止めて、 7月に1回補講にして終わりにして欲しいという要望が有ったので、 そうした。 来年度からは、制度的にそうなるようだ。

  • 今年は、化学の人が2、3人、そして総理工の人が来てくれた。 毎年来ている生物の人と、工学府の人は今年は来なかった。

受講生の皆さんへ
今年でこの講義は4年めになりますが、まだ反省する点が多いです。 しかし、アンケートで総合的に満足と非常に満足が例年よりも多かったので、 とても嬉しかったです。 また、感想を聞かせて下さい。 半年間聴いて頂いて、有り難う御座いました。
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