質問と回答 (採点対象)

第5回 (5月15日)

この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ここを 見て下さい。

1回とんでまた常連さんが質問してくれました。

ホームページで公開不可、とは書いてなかったので、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上に私の回答があります。


質問. (採点結果: 20点)

○ 時間相関関数で <X(t)X(t')><0の時はなぜ何も触れていないのですか? X(t)からX(t')になるのに符号がかわる確率が高いということを 意味しているのではないでしょうか。
○ 時間相関関数が未来の予測に関係している気がしません。 というのは上の質問と同じように<X(t)X(t')>>0の時は、 X(t)からX(t')になるのに符号がかわらないということだけで、 X(t')がX(t)の近くにいる確率が高いことを意味していないように思います。
もし、未来の予測に関係している関数をつくるとしたら
<X(t')-X(t)>=(1/N)Σi=1N (Xi(t')-Xi(t))ではないでしょうか。
○ 定常過程について
時間の原点をずらしたら、平均量が変わる現象が思い付きません。 すべての現象は定常過程の気がしてしまいます。 定常過程ではない現象の例を教えて下さい。

質問する人がだいたい決まってきてしまいましたが、 質問される方は皆さん鋭いところをばしばしついてこられ、 私のも勉強になります。 今回も剃刀のような質問がきました。

<X(t)X(t')><0を説明しなかったのは、単に分かりにくいということと、 時間の関係もあったのですが、不自然だったのでしょうか。 <X(t)X(t')><0が意味することはおっしゃるとおりです。

次の質問もまったくそのとおりで<X(t)X(t')>>0は X(t')がX(t)の近くにいる確率が高いことを意味していません。 今プリントをみたら、間違ったことは書いていなかったので、 ちょっと胸をなで下ろしましたが、 口でいった覚えがあるので、きっと有罪でしょう。 もし「<X(t)X(t')>>0ならば、X(t')がX(t)の近くにいる確率が高い」 と言ったならば、それは間違いなので、訂正して下さい。 ただ、同じ符号を取るというのも、未来に対するある情報を与えるという点で、 予測に関係しているといえると思うのですが、如何でしょうか。 それはもちろん、<X(t)X(t')><0の場合も同じで、 違う符号をとりやすいという点で予測と関係すると思います。 なお、<X(t')-X(t)>は、定常過程ならば、<X(t')>=<X(T)>なので、 0になってしまい、予測とは関係することが出来ません。

最後の定常過程に対する質問は、 5章の線形応答でやる外場のかかった系が良い例になると思います。 例えば電荷を持ったブラウン粒子に電場をかけて、 その電場の大きさを徐々に大きくしていくと明らかに平均は時間変化します。 微粒子の速度の平均は時間と共に大きくなるでしょう。 このような場合、定常でなくなります。

今回はポイントが6つあるだけでなく、 前回からの残りがあったので、ポイント1つに付き15点で計算しました。 3つめのポイント「未来の予測」に対して深い考察をしてくれたので、満点の15点。 最後の質問は4つめのポイント「定常過程」と関係していましたが、 どれくらい理解しているか良く分からなかったので5点にして、 合計で20点にしました。



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