質問と回答 (採点対象)

第3回 (4月26日)

この授業は質問を採点の対象にしています。 詳しくは、 ここを 見て下さい。

今回は、前回よりも多い9人の方が質問してくれました。 このやり方も定着したようですね。 質問に回答するのは結構大変ですが、とても嬉しいです。

ホームページで公開不可、とは書いてなかったので、掲載しました。 (掲載に関して間違っていたら至急連絡して下さい。) 下線の上に私の回答があります。


質問. (採点結果: 5点)

<I>全波動関数が符号を変えるかどうかによって対称と反対称 (ボーズ粒子かフェルミ粒子か)をきめており 回転も符号によって対称か反対称かを決めているという所までは わかりますが、なぜスピンは符号によって 対称か反対称かを決めないのでしょうか. というのはボーズ粒子の所で回転を反対称にしたとき 回転の対称と較べて(-1)がかかるのでスピンの反対称でこちらも (-1)がかからなければ全波動関数は符号を変えてしまうと思います.

ちょっと、質問の意味が良く分からないので、間違った回答をしたらごめんなさい。 「スピンは符号によって対称か反対称かを決め」ています。 つまり、スピンの波動関数は、回転と同様に、 対称の場合は符号を変えないで、反対称の場合は符号を変えます。 もしかしたら、授業で「スピンは対称の場合 (SA+1)(SA+1)で、 反対称の場合 (SA+1)SA」 と言ったので両方とも符号は変らないと思ったのでしょうか。 もし、そうだったら私の説明が悪かったのかもしれません。 対称、反対称で符号が変るのは分配関数でなくて波動関数です。 教科書ではスピンの波動関数は S(s1,s2) と書かれていました。 対称の場合、S(s1,s2) = S(s2,s1)、 反対称の場合は S(s1,s2) = -S(s2,s1) です。


<II>P128で「低温極限では re = 1、ro = 3e-2ΘT」 とありますがどのような近似を用いたのでしょうか.

教科書P127にある re と ro を定義式でTを小さくすると、 指数関数の部分が小さくなり、Jの大きい所は無視できます。 re は、J = 0 から始まるので、J = 0 の項が残り、1になります。 ro は、J = 1 から始まるので、J = 1 の項だけ残し、3e-2ΘT になります。 それ以外の項は、低温で充分小さくなります。


<III>P131の注で「非平衡系ではクエンチド平均から アニールド平均へ移り変わる」 とありますが 非平衡系ではパラ分子とオルソ分子の混合系から 各分子がオルソ種、パラ種の間を自由に転換できる系へと 移り変わっていると解釈してもよいですか?

だいたい、その解釈で結構です。 移り変わるキーポイントは観測時間です。 つまり、移り変わるスピードよりも観測時間が短ければ混合系になり、 長ければオルソとパラを転換することができるので、クエンチド系になります。 この授業で扱う平衡系は観測時間を無限大にとるので、 いつもアニールド系ですが、 うまい具合に非平衡の比熱を定義してやれば、 観測時間に依存する比熱を計算できるようになります。 詳しくは、Toshiaki Tao, Akira Yoshimori, and Takashi Odagaki ``Specific heat in nonequilibrium systems'' Phys. Rev. E, 64 (2001) 046112. を読んで下さい。 ちょっと難しいかもしれませんが。 (アブストラクが ここで 見れます。 九大の中であれば、本文も見れます。)

今回のポイントは、同核2原子分子の分配関数の計算について、

  1. オルソとパラを足すこと(4点)
  2. スピンの縮重度(2点)
  3. 回転の分配関数(1点)
の3つです。 この方は、1のポイントについて、半分ぐらいは分かっていると、 判断できたので、2+3=5点にしました。

質問. (採点結果: 4点)

質問、等核2原子分子の分配関数の計算について、
@ オルソとパラを足すというのは、 ボーズ粒子では、原子の入れ替えに対して全波動関数が 対称なものなので、回転の分配関数の対称なものと、 核スピンの対象なものであるオルソ分子をかけた 分配関数と、回転の反対称なものと、核スピンの反対称 なものであるパラ分子を足すということですか?
また、フェルミ粒子では、回転の分配関数の対称なものと、 パラ分子の分配関数と、回転の分配関数の反対称なものと、 オルソ分子の分配関数を足したものですか?

少し日本語がごちゃごちゃして分かり難かったのですが、 授業で言ったとおりのことを書いてくれているので、 まったく正しいです。


A スピンの縮退度は、 (1)対称状態 @ 2つのSzが同じ値では Sz=-SA,-SA+1,・・・,SA の(2SA+1)コあるので(2SA+1). A 2つの2Szが異なる値では、 (2SA+1)C2 = (2SA+1)SA コあるので、全体として (2SA+1)(2SA+1) コでしたが、 (2)反対状態では、(1)対称状態でのAの場合と同じ様に考えて (2SA+1)SAとしてよいのですか?

これもまた授業で言ったとおりで、まったく正しいです。


B PDF

よいです。

この方は、よくwwwを見てくれているようで、 3つのポイントを1つずつ質問してくれました。 ただし、どれくらい理解しているかよく分からなかったので、 4点にしました。


質問. (採点結果: 6点)

前回はスピンについて学び、等核2原子分子の原子の入れ替えから、 スピンの縮退度を、対称状態、反対称状態、それぞれを求めました。 そして、それを基にボーズ粒子、 フェルミ粒子の分配関数を量子論的に求めました。
 スピンについて、@ 半整数のスピンのときフェルミ粒子。 整数のスピンのとき、ボーズ粒子になる必要性が、 今一つ納得出来ませんでした。
{全波動関数} = {回転} x {スピン}
で、ボーズは対称、フェルミは反対称という所です。 (波動関数がわかっていないだけかもしれませんが。)

これはとても難しい質問です。 おそらく量子力学IIIまでやらないと量子力学でも出てこないでしょう。 正直言って私には分かりません。 不勉強でごめんなさい。 どうしても今知りたい人は量子力学の先生に聞きに行くか、 図書館で本を調べて下さい。 そして、わかったら私にも教えて下さい。 ただで教えるのが嫌だという人は、コーヒーをご馳走します(*注)。

*注 これではあんまりなので、もう少し書いておくと、 スピンというのは回転操作を演算子と考えた時の その演算子と関係しています。 z軸まわりにラジアンでxだけ回転をしたときに波動関数の位相は、 xSz/(h/2π) だけずれます。 360度まわすと x=2πですが、 スピンが整数の場合はまったく元に戻るのに対して、 1/2のときは、exp[iπ] か exp[-iπ] で、波動関数の符号が変ります。 それが、フェルミ粒子というわけです。
A H2分子はフェルミ粒子として扱えるとありますが、 分子となると、原子核と電子から成り立ちます。 プリントには、陽子も電子もフェルミ粒子とありますが、 分子になったとき、原子核の周りを、電子は電子雲となって とり囲むような形となっていると考えますが、 H2分子の核と電子のそれぞれのスピンの影響は ないのですか。

この質問は、とてもよい質問です。 水素分子は、陽子2個と電子2個からなる系なので、 結局全部で4つの粒子からなるわけですが、 授業で波動関数の対称性を考えたのは陽子だけで、 なぜ電子は考えないのでしょうか。 それは、

波動関数の対称性は、同種粒子だけの性質

ということです。 電子と陽子という異種の粒子では、その2つの粒子を入れ替えても、 先週の授業でお話した波動関数の制限は、何もありません。 そうすると、電子同士が問題になりますが、 前回の回答にもあったように、電子はほとんど基底状態なので、 考えなくてもよいと良いことです。


B 水素は、重水素になりますが、 なぜ重電子や重ヘリウムのようなものはないのでしょうか。 パウリの排他律による説明と、核力の説明がファインマン物理学V にありましたが、納得出来ませんでした。

これも難しい質問ですね。 ファインマン物理学を見ましたが、何処に載っているか分かりませんでした。 でも、単純に電子2個の場合は、同符号の電荷をもっているので、 クーロン力の反発で重電子は出来ない気がしますが、どうでしょう。 また、ヘリウムも陽子が2つあって、くっつきそうにないですよね。


C 回転分配関数について
(式略)
を用いて、オルソ分子とパラ分子の分子種の個数比を求めると、 フェルミ粒子の場合、
(式略)
となりました。 H2は、SA=1/2 より、nH2(T)=3ro/re で、高温、低温の極限をとるとき、 低温極限では、H2 は全てパラ分子となることが、数学的には、理解できましたが、 物理的に、どのような状態であるのか、イメージできませんでした。

この問題の解決のポイントは、 回転のもっとエネルギーの低い状態はパラに含まれる ということです。 スピンの方はエネルギーには影響与えないので、関係ありませんが、 回転は、J = 0 が最もエネルギーの低い状態です。 温度が低いと、エネルギーの低い状態の確率が大きくなるので、 エネルギーの高いオルソは0になり、パラしかなくなるのです。

これらの質問は、興味深くまた重要なものも含まれていましたが、 ポイントがわかっているかどうかという点では、 判断しにくいものがあります。 Cの質問は回転の分配関数の計算だったので1点、 あとポイント以外に4点満点の2点で6点としました。


質問. (採点結果: 3点)

Zr = jrot = rc +ro
Zs = (2SA+1)2
ZrZs = re(SA+1)(2SA+1) +ro SA(2SA+1) +re SA(2SA+1) +ro(SA+1)(2SA+1)
とおいて、(フェルミ粒子かボーズ粒子か)、 そして(パラ分子なのかオルソ分子なのか)の4通りの組合わせを、 1つ1つの項に対応させればよいのではないか?

これは、初歩的ですが、根源的な質問です。 つまり、粒子を電子なら電子、陽子なら陽子と決めたとき、 ある時はフェルミ粒子になったり、 また別のときはボーズ粒子になったりすることがあるか? という疑問ですね。 そういうことはありません。 そこが重要なことでまずそれをしっかり理解して下さい。 といってもなぜか言わないと普通の意味で「理解」できないと思うのですが、 それは私も理解していません。 ただ、いったん、フェルミ粒子になると未来永劫フェルミ粒子になることは、 量子力学で示せます。 それだけでも、とりあえず、 分配関数の中に輪の形では入らないことがわかります。 ここも重要なことですが、 時間的に移り変わる状態だけを分配関数の和に含める ということです。 このために、 フェルミ粒子とボーズ粒子を分配関数に両方足すことはしません。 一方、パラとオルソは時間的に移り変わることができるので、 分配関数の中に和の形で含めます。

さらに付けたしの問題で、同じ電子の中に、 フェルミ粒子のものとボーズ粒子のものと混ざらないのか、 ということがあります。 これは私も以前より不思議に思っているのですが、 誰か、量子力学の先生に聞いて教えて下さい。

よい質問だとは思いますが、質問が短いので、 どれくらい理解しているか分かりませんでした。 もっと長く質問して下さい。


質問. (採点結果: 3点)

原子の入れ替え θ' = π-θ
ψ' = π+ψ *注
の回転操作に対して全波動関数がボーズ粒子では対称で、 フェルミ粒子では反対称だと書いてありましたが、 この回転操作に対して全波動関数が対称になるものがボーズ粒子で、 反対称になるものがフェルミ粒子だと考えてもいいのでしょうか。
*注 全角を使ったので、読めない人がいたらごめんなさい。

ボーズ粒子とフェルミ粒子の正確な定義は私もよく知りませんが、 波動関数が対称か反対称かということと、 ボーズ粒子とフェルミ粒子は完全に等価です。 つまり、ボーズ粒子であれば、波動関数は対称だし、 波動関数が対称であれば、それはボーズ粒子です。 フェルミ粒子も同様です。

この質問も前の質問同様、短くて採点できません。 もっと長く書いてくれたらもっと点は上がります。


質問. (採点結果: 4点)

@ 等核2原子分子について、 2つの原子を入れ替える回転操作に対して、 なぜ全波動関数は、ボーズ粒子の場合->対称、 フェルミ粒子の場合->反対称であるのか? 等核2原子分子の、分子軸の角度が (θ,φ) と (π-θ,π+φ) *注 は、 ''全く''同じ状態を表すが、 フェルミ粒子の場合の反対称な波動関数は、 一般に同じ状態を表すのか?
*注 全角を使ったので、読めない人がいたらごめんなさい。

これも前の質問と同じで、ほとんど定義だと思って下さい。 つまり、ボーズ粒子とフェルミ粒子の言葉の意味が、 波動関数が対称か反対称な粒子だということです。

それから、後半の質問に対しては、 フェルミ粒子は粒子の入れ替えの操作に対して符号をかえるので、 波動関数は別の物になります。 しかし、

微視状態としては同じ物です。


A 教科書p129では、回転運動のヘルムホルツ自由エネルギー ・回転運動の比熱のみを扱っているが、 並進運動については、重心を考え単原子と同じようにして、求まる。 系全体の分配関数は、Z = ZGZrZs (ZG: 重心、Zr: 回転、Zs: スピン とする)なので、 単にスピンの自由エネルギーなどは考えられないのか?

考えられます。 Zs から、-kBTlnZsで計算できます。 ただ、この自由エネルギーは、温度によらない定数なので、 エネルギーには寄与しません。 エントロピーには定数を与えます。

この質問は少し長く書いてくれましたが、 ポイントがどれくらい分かってくれているか分からないので、 4点にしました。


質問. (採点結果: 4点)

1. 等核2原子分子の分配関数を考える際に、 原子の入れ替えという操作に関して、波動関数が変わらないボーズ粒子と、 符号が変わるフェルミ粒子があるというのは分かりました。 ただその中で回転の分配関数を、対称ならば re (jrot で J が偶数) 反対称ならば ro (j が奇数)となぜなるのかが分かりません

2原子分子の場合、2つの原子の入れ替えというのは、分子の回転に相当します。 上の質問にもあったように、シーターをパイマイナスシーターに置き換え、 ファイをファイプラスパイに置き換える操作と同じです。 回転の波動関数は球面調和関数で表されますが、教科書P126に書いてある通り、 球面調和関数はこの回転操作に対して、符号を変えたり変えなかったりします。 J が偶数のものは符号を変えず、奇数のものは符号を変えるので、 それぞれ対称と反対称に分けることができるのです。


2. 講義から少し離れますが、スピンに関しての質問です. 講義の際に質問したところ、 スピンというのは電子、陽子、 中性子というような1つの粒子に対してのみならず、 重水素の原子核などの粒子が 複合しているものに対しても考えられる、とのことでした。 すると例えば中性子星のような マクロなものに関してもスピンというものが考えられるのか? という疑問が沸きます。 また、スピンとは実際に観測されうる物理量である、 とのことなので、中性子星の連星の運動や振動といった運動に関して スピンの保有する自由度が影響を与えるようなことがあるのか、 知りたいです。

授業のときに質問してくれた方ですね。 ありがとうございました。 そのときは、あまり詳しく説明しませんでしたが、 多粒子系のスピンも運動量やエネルギーなどの他の物理量と だいたい同じで、 全体のスピンの演算子はそれぞれの粒子の演算子の和で書けます。 しかしながら、量子力学の特徴と言うか不思議な面のために、 固有値や固有状態は和ではかけません。 この辺りのことは、面白いことがたくさんありますが、 おそらく量子力学IIでやると思います。

マクロな系のことですが、磁石はものによってはスピンのせいで磁力を持ちます。 これは、相転移の関係で講義でも説明するつもりですが、簡単に古典的な感覚で言うと、 各粒子のスピンの向きが揃って、全体で大きな磁力が生まれるのです。 しかし、バラバラだったら、その効果はほとんどありません。 中性子星はよくわかりませんが、 もし、向きが揃うことがあれば、運動にも効果があるかもしれません。 でも、そんなに大きな磁石は聞いたことがないので、やっぱり無いのかもしれません。

2番目の質問はとても面白いものでしたが、授業をどれくらい理解したかは、 ちょっと分からなかったので、全部で4点にしました.


質問. (採点結果: 5点)

(i) nBE(T)とnF(T)などについて: なぜそれらは(8.16)と(8.17)のような式でよいのですか。 なぜそういう比で North/Npara を表せるのですか。

おそらく、分子種の個数の比がなぜ分配関数の比で決まるのかが、 分からないのでしょうね。 これは確率と関係しています。 つまり、統計力学Iでやったように分配関数と確率は比例します。 今、分子がたくさんあったとして、 1個の分子がパラやオルソになる確率が互いに独立だったら、 パラの分子の数はパラになる確率に比例します。 したがって、数の比は確率の比と等しく、 分配関数の比に等しいというわけです。


(ii)「高温の極限では re = ro」について: ro + re = jrot(T)なので、 (8.6)式によって高温の極限では ro + re = T/Θ となりませんか。

そのとおりです。 P124でやったようにオイラー-マクローリンの公式を使って、 ro と re はそれぞれ高温の極限で(8.6)式の半分になることも確かめられますが、 それは宿題にしましょう。


(iii) 図8.2について: 8.2の(ii)と同じ質問です。 2つの極限の間はどのように計算しますか。

この図は数値計算で出しています。 といっても難しい計算ではなく、級数を計算するだけです。 ただ、低温や高温の極限と違って、初等関数では表されません。 ro と re の級数を数値的に計算して、(8.16)式と(8.17)式に代入します。 スピンの値は、水素が1/2、重水素は1を代入します。


(iv) この章ではエネルギーと比熱を回転、 又は回転とスピンについて 別々に導出していますが、実際に Erot(T), Cvrot(T), Enu-rot(T), Cnu-rot(T) で充分ですか? ZG, Zrot, Zs この3つのものを考慮して E と C 導く必要はないですか?

異核2原子分子の場合は、重心、回転、スピンはすべて独立なので、 分配関数はそれぞれの積でかけます。 エネルギー E と比熱 C は、分配関数に対数から計算できるので、 それぞれの運動のになります。 説明の仕方が悪かったのかもしれませんが、 「エネルギーに対する回転の寄与」と言ったときは、 この和のうち、回転の項だけをさしているわけで、 この他に重心の項もあるわけです。 スピンはエネルギーには関係しません。 したがって、「回転の寄与」というときは Zrot だけ考えればよいということになります。 同核2原子分子の場合は、回転とスピンは独立でなくなりますが、 重心とは、異核2原子分子と同じ関係です。

4つも質問してくれましたが、ポイント外なので、4点満点の2点にしました。


質問. (採点結果: 3点)

大きさ SA の核スピンについて、 2個のスピンの対称状態で両者が同じスピンをもつという場合でいうと、 -SA =< S z =< SA より (2A+1) 個の状態があるということでしたが、 通常1つの粒子はスピンの値を1つしかとらず、電子では S z = -1/2, 1/2 (スピンに関する場合の数は全体で4個)であることを考えると、 (8.14)式などは
jBErot(T) = 1ro + 3re
となるように思えます。 この2つのことは矛盾しているように感じるのですが、 これはどのように考えればよいのでしょうか。

すみません。 質問の意味がよくわかりませんでした。 何と何が矛盾しているように感じたのか、 もう少し詳しく書いてもらえると良かったかもしれません。 S = 1/2 の場合、対称状態で2つの粒子が同じ Sz のものは、1/2と-1/2の2とおりです。 対称状態ではさらに、Szが違うものがありますが、 それは、1通りしかありません。 つまりあわせて3通りです。 反対称状態は、違うものしかないので、1通りしかありません。 ボーズ粒子は、全波動間数が対称なものしか許されないので、 回転の波動関数が re のときは、スピンも対称で、3通り、 ro のときはスピンも反対称で1と通りです。


あと、授業中の板書で
「jrot-nu は回転 + スピン」
と書いてあったのは
jrot-nu = Σその粒子のとりうるケース (回転 + スピン)
の間違いではないでしょうか。

「その粒子のとりうるケース」で足し合せるのはまったく正しいです。 決して回転の分配関数とスピンの分配関数を足すという意味ではありません。 単に、回転とスピンは異核2原子分子と違って、独立にはならないので、 2つの運動が混ざるという意味で + の記号を使いました。 間違えやすかったでしょうか。

質問をもう少し書いてくれれば、 何が聞きたいかはっきりしたかもしれません。 提出する前に誰か友達に見てもらったら良かったかも知れません。


前回(5月11日)のポイントですが、 (1)フェルミ粒子とボーズ粒子とは何か? (2)微視状態の数え方 (3) 大分配関数の計算(4)状態密度とは何か?です。

また、来週のポイントですが、絶対零度のフェルミ理想気体の計算で、 (1)状態密度の計算(2)フェルミエネルギーの計算(3) 熱力学量の計算 です。


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