物性理論研究室では、非平衡系・複雑系・不規則系で見られるさまざまな現象を、統計力学に基づく理論および計算機シミュレーションを用いて研究しています。 福田(2017年4月着任)は液晶を中心とした柔らかい凝縮系(ソフトマター)の研究を、松井はガラス転移や過冷却液体の研究を主に行なっています。

ソフトマターの理論的研究

液晶の秩序構造とダイナミクス

液晶が様々な条件下で示す秩序構造とそのダイナミクスを,主に連続体理論に基づく数値計算によって調べている.対象はコレステリックブルー相と呼ばれる複雑な液晶相の性質,コロイド粒子を含む液晶(一部は木村康之先生との共同研究),正弦波状の溝の上の液晶などである.液晶が示すトポロジカル欠陥の構造が大きな興味の対象の1つである.

ソフトマターが示す秩序構造の光学的性質

ソフトマターはしばしば可視光の波長程度の周期的構造を自己組織的に形成する.そのような秩序構造のフォトニック結晶としての性質,あるいはそれらが顕微鏡でどのように見えるかといった問題に取り組んでいる.

場の理論に基づいた高分子系の研究

曲げ弾性を有する半屈曲性の高分子鎖の微視的なモデルを出発点にして,濃度場,および配向秩序場を表す秩序変数の汎関数としての自由エネルギー,およびそれらの秩序変数が従う運動方程式を場の理論に基づいて導出し,そのような高分子の溶液の相分離と配向秩序の成長のカップリングについて調べた.

ガラス転移、過冷却液体の数値的,理論的研究

1成分ガラス形成系の結晶化メカニズム

原子の実空間における構造変化を分子動力学シミュレーションを用いて解析し、高温と低温での結晶化過程の違いを明らかにした。また、結晶化およびガラス化の両方において、周囲との協調的な原子運動が顕著になっていることを示した。

CRR内の活性化自由エネルギーの分布

自由エネルギーランドスケープ描像に基づいて、構造緩和が起こるときの 協調再配置領域(CRR)内の活性化自由エネルギーの分布を、 1粒子あたりの活性化自由エネルギーという概念を定義して明らかにした。 剛体球ガラスに密度汎関数理論を応用し、 1粒子あたりの活性化自由エネルギーを定義した。 多くの密度で活性化自由エネルギーは特徴的な分布を持つ事が分かった。

3次元単成分液体のガラス転移

低圧力下で結晶化が回避されガラス化することを分子動力学シミュレーションにより見いだした。粒子が20個程度の範囲の局所的なポテンシャルエネルギーは、ガラス状態の方が結晶よりも低いため、ガラスの局所構造が安定であることがわかった。

レナード・ジョーンズ・ガウス系の平均二乗変位の研究

平均2乗変位のプラトーをさまざまなポテンシャルパラメーターについて、分子動力学シミュレーションにより計算した。

ジャンプ待ち時間分布の対数発散

液体中の分子運動のうち構造緩和に寄与するジャンプ拡散を抽出し、それらの待ち時間分布を求めた。分子動力学シミュレーション結果は、ガラス転移温度以上ではおおよそポアッソン分布、転移点では-2のベキをもつロングテイルを示した。

社会物理学の理論的研究

経済現象での自己平均性の破れと壺モデル

壺モデルに対してマスター方程式を立て、その性質を調べた。マスター方程式を連続近似し、その解析解を明らかにした。また壺モデルに摂動を加えた影響を調べた。今後は、摂動の効果が経済においてどう現れるのかを明らかにする。